昔住んでた家が無くなっていた

 弟と昔の話をしてた流れでGoogleマップストリートビューで昔住んでいた近辺を見ていたら家が無くなっていた。

 跡形もなく更地と化していた。どうやらそこ一帯で区画整理が行われているらしく、昔住んでた家だけでなく近所の家も同じ様に無くなっていた。

 まあ普通車一台が通れる位の細い道がうねり入り組んでて、ランクルなんて買ってしまえば住宅街の外に駐車場を借りなきゃいけないような場所だった。しかも僕の家の前には使われてない農地が点在して、水路の周りは荒れ放題という今思えば区画整理されて当然といった土地である。引越し初日に「本当に県庁所在地かよ…」と子供ながらに思ったことを覚えている。

 区画整理なので当たり前だが家が無くなっていただけじゃない。小学校への通学路と中学校への通学路が両方とも消えていた。これは関係ない話だが50m程離れた同級生の女の子の家は表札の名字が変わっていた。

 昔住んでいたと言っても親の転勤先での借家で、四年程住んでいただけなので特段悲しいってこともない。ただ今でも鮮明に思い出せる原風景的な場所であることも確かであって、「あっ、もうねえんだ」位には思うという言葉にし難い微妙な感情である。いつまでも思い出せる記憶であるとけど、この先死ぬまであそこに立ち寄ることはたぶん無い。懐かしいとは思うけど帰る場所じゃないから。

 ピッタリ思春期の間だけ別の土地で過ごした為か、僕は土地への帰属意識が希薄で、生まれ育って今も住んでいるこの場所にも地元愛みたいなのが無い。それでも微かにあった帰属意識の向かう先がもう自分の記憶の中にしか無いのがなんとも、ああ何言ってのかよく分からなくなってきた。貧相な語彙力&文章力では今の自分の感情を言語化出来ない。

 とにかく今メンタルが低温やけどみたいな状態なのでちょっぴり大人びた女子中学生によしよししてもらいたい。ただそれだけ。