年間ベストと銘打ってはいますがどうにも今「年間ベストとかどうでもよくねーか?」みたいなモードに入っているのであくまで備忘録として記録しておきます。
一番最初にぶっちゃけてしまうと正直2019年は個人的には不作でした。特筆すべきアルバムは思い浮かばないし、良盤が数多く出揃った訳でもないかなと。
あとこの時期になると年間ベストを出すとともに毎年のように「今年は豊作でした!」的なことを言う人が結構いるけどそれは最早豊作ではなくて例年通りなのでは?とか思っている。こういう人達がボジョレーヌーボーの品質評価とかするんですかね。
まあそんなことはさておきさっさといきます。
Kill Bill x Rav『NEW MOON』
2019年の僕の年間ベストアルバム、というか僕が今年一番推したい、布教したいアルバム。ネットメディア含め日本のメディアに取り上げられた形跡は無いし、僕のTwitterのTLで言及していた人も見かけなかったしTwitterで山のように挙げられてるタイル状の個人の年間ベストの中にも見つけられなかったけどこのアルバムは本当に素晴らしいです。これが出たの1月ですよ?正直これほどの作品が丸々一年全く無視されてきたのは信じがたいです。どうなってんだ?マジで。
内容としてはたぶんネタの雰囲気からVaporwaveやFuture Funkを通過してる感じはあるけど僕はクルクルパーなのでその辺はよく分かりません。それよりも普通にヒップホップとしての出来の良さの方が目立ってる。
そして、驚くべきことに本作はBandcampにてname your price、つまり実質無料で配られています。だからもっと多くの人に聴かれるべきなのだ。
Kill BillとRavのタッグは今年もう一枚『Solar Flare』というミニアルバムを出してますし、前作『BENEATH THE TOXIC JUNGLE』も結構良いのでどちらも是非。
以下、それ以外でよく聴いたもの
ミツメ『Ghosts』
めちゃくちゃ良いシングルを出した後に期待されながら出したアルバムがその強すぎるシングル故に他の曲が負けて、結果シングル以外いまいちのアルバムになってしまったというのは結構あるあるではないだろうか。しかしミツメは「エスパー」という恐らく今後もバンドを代表し続けるであろう必殺シングルを収録しながらも”「エスパー」だけ”のアルバムにさせなかった。現時点でのミツメの最高傑作。
Danny Brown『uknowwhatimsayin¿』
今作には『XXX』の頃のキレキレのラップもなければ『Atrocity Exhibition』の凶暴なビートもない。正直これらの過去二作の方が好きな人が多いだろう。でも僕が一番好きなのはこれ。今年は個人的に90年代のヒップホップのビートが面白く聴こえてずっと聴いてたんだけどそんな僕のモードにたまたまジャストフィットした。
細野晴臣『HOCHONO HOUSE』
口にするのも憚られますが僕は『HOSONO HOUSE』があまり好きではありません。あの短いアルバムをいつも途中で切り上げてしまう程には。しかし不思議なことに『HOCHONO HOUSE』は通して聴けるどころか大好きなアルバムです。細野晴臣御大に感謝。
王舟『Big fish』
特に何も聴きたいものが無いときに『HOCHONO HOUSE』とセットで同時期によく聴いてた。心が疲れていたのかもしれない。
dela『Électrique』
OutKastは神。そんな単純なことを改めて僕に示してくれたアルバム。
Awon『Soulapowa』
何の変哲もないTheヒップホップ。でも今年の僕にはこういうので良かった。5曲目の「Baldwin ft. Anti-Lilly (prod. Phoniks)」という曲はThe Rootsの「Can't Stop This」みたいで超かっこいいです。
Tempalay『21世紀より愛をこめて』
名前を知ってはいたもののさして興味の無かったバンド、Tempalay。しかしSpotifyで気まぐれで聴いたこのアルバムは良かった。好き勝手やっているであろうにキャッチーさもしっかりあるそのバランスが良かったのかもしれない。あとレコード出るのをずっと待っててCD未だに買ってないから出してくれ。
3776『歳時記』
謎のアルバム。何故この音楽が静岡県のご当地アイドルによって繰り広げられているのかと思ったがローカルアイドルだからこそ可能なのかもしれない。あまりにもブッ飛んだアルバムコンセプトと手法。前作『3776を聴かない理由があるとすれば』ではポップスの枠組みの中にカオスを感じさせた作品ですが、今作はカオスそのもの。いや、本当に普段何食ってたらこんなこと思いついて形に出来ちゃうんですかね。
以上になります
最後に、去年以上に勢いを増し、完全に主流になったSpotifyやApple Music等のサブスクリプションサービスですが、個人的に扱いに困ってきています。
たぶん感じてる人も結構いると思うんですけどMP3の音がショボ過ぎるんですよね。圧縮音源とフィジカルや可逆圧縮音源で聴いた時の差があまりにも大きくてどういう目的で利用すればいいのか分からなくなってる。
これまではサブスクで聴いて気に入ったものをフィジカルで買うという方式を採用していたけど、結局フィジカルで聴かないと本当のところが分からないから試聴用にもなれてないというか。
まあ5G通信が一般化したら配信音源も圧縮音源から可逆圧縮音源に切り替わるような気がするから今はちょうど過渡期なのかもしれない。でもそうなったら今度こそCDは死ぬんじゃないだろうか。